アンビエント音楽っぽくするために

世に中の溢れる、アンビエント音楽のほとんどが、イカサマ音楽です

というつもりは、ありません

さて、今回はアンビエントの世界をのぞいてみましょう

みなさん、どうでしょうか

大学などで作曲を専攻でもしていない限り、アンビエント音楽ってどんなもの?と聞かれても、フワッとした印象しかない方が、ほとんどではないでしょうか

なんだか静かな音楽、リラックス、ノイズ、、、このような感じで、キーワードはいくつか思い浮かぶと思います

それで、なんとなく、こんな感じかな、と思って作ってみる

それで発表すると、こんなのアンビエントじゃない!などと、熱心なリスナーからお叱りを受けることがあります

こんなのロックじゃない!お前のラップはリアルじゃない!現代において現代音楽は時代遅れ!メジャーに魂を売った、クラシックの素養がどうのこうの、、

etc…

じゃあ、アンビエントの定義、ルールはなんなのでしょうか

今回は細かい話は無しにして、アンビエントとは、主張の少ない、自然に溶け込む人工音である

特にアンビエント音楽と、音楽がつくときは、上記の条件を満たす人工音で作る、ささやかな音楽を指すもの

このように理解しておけばいいでしょう

自然の中にある人工物に注目する

例えばサッカーをするとき、まずオフサイドがどうとか、ポジションがどうとか、そういう細かいことではなく、とにかくボールを蹴って、あの四角い枠に入れたら1点です、というところから始めるようなものです

小鳥のさえずりの中、庭いじりをしていて、そこに郵便局のバイクがブーンと通り過ぎたとします

この、小鳥とバイクぐらいの関係です

バイクは人工物で、小鳥のさえずりの中に、ある程度の違和感を持って侵入してきますが、そこで、特別にバイクの音に聴き入ったりしません

これが暴走族のバイクが改造したクラクションでゴッドファーザーの音楽を鳴らしながら近づいてくると、うるせー!になってしまいます

さりげなさが大切です

楽器の演奏が得意な人ほど、ゴッドファーザーの如く、どうじゃわしの演奏は!になってしまいがち、謙虚な人でも、なるべく素晴らしい演奏を、と考えて、あまりに立派な演奏をして音楽がキンキラキンに輝いて目立ってしまう

下手くそで、隅っこで申し訳なさそうに演奏するぐらいの方が、しっくりきます

あれお前いたの?みたいな、陰キャ、忍び、忍者の音楽

では、その感じを演出するために、どう考えたら良いでしょうか

重要なことは、リズムの独立性、非連動(互いに影響しない)です

鳥とバイクはパソコン作曲ソフトのクロックでリズムを共有して動いているわけではありません

ですから多重録音の際は、各トラックごとのテンポがずれていた方がいいのです

BPM120と,BPM110のトラックをそのまま重ねたりします

草間敬さんによるトラックごとにBPMを設定できるmax for liveエフェクターの作り方

クラブdjだとしたら、ミックス大失敗ですが、アンビエント音楽としては、その方がいいと言えます

もっと言えば、決まったテンポでなく、なんとなくのタイミング、目分量で演奏するのもいいでしょう

音程やハーモニーなんかも、あんまり気にしない

鳥とバイクはハーモニーを示し合わせたりしません

もちろん、わざわざ不協和音だらけにすることもありません

ささやかに、合わせる程度

この辺の塩梅が、少し難しいかもしれません

バイクの音を模してみる、というのもいいでしょう

よく聴いてみると、ブルブル、ゴロゴロ、というエンジンの音

アクセルをふかすとビーン、という回転数の高まる音

マフラーから、ボフボフ、と吐き出す音

地面とタイヤの擦れる音

さまざまな音が混じり合って、バイクの音になることがわかります

パトカーのサイレンが目の前を通り過ぎる時、ピーポーピーポーから、ぴいいーーぽおおおーーーになることを、ドップラー効果と言いますが、そういったものを模してみたり

1:15あたりでドップラー効果が登場します

こういう効果音的なアプローチ、追求していくと、バイノーラルやDolby Atomosに代表される立体音響にも興味が湧いてくるところでしょう

さて、ちょっとマニアックな匂いのするアンビエントですが、現代ならポップスにも十分取り入れることができる要素はたくさんあります

みなさんもぜひ、アンビエントを使って、音楽の幅を大きく広げてみてはいかがでしょうか

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