パソコンで作曲する場合、1人でほとんどの作曲工程を行います。曲が完成するまでに幾つかの関門を思いつくだけ書き出してみました
- 必要な音が、必要な場所に過不足なく配置されている
- ワンアイデア、もしくは一貫性を保っている
- 転調する場合、逆説的な意味合いも含め少しでも合理的な意味がある
- 印象的で簡潔なイントロが主題に何かしら関連性がある
- 聴かせたいパートを支える展開がある
- リズムやグルーヴがチグハグでなく適切か
- 歌詞の歌いやすさ、音程、押韻、息継ぎ、簡潔で聴き取りやすいか
- 感情を高揚させたり、揺さぶるような歌詞とメロディ
- ターゲットにしているリスナーに対するキャッチーさがある
- 特殊な場合を除き、リスニング可能な空間を満たすミキシングができている
- 最高音域から最低音域まで、バランス良く音量が出ている
- 左右の広がり、奥行きを十分に確保している
- 全体として十分な音量、音圧
- ボーカルの中低音、サ行あたりの処理、音程とタイミングの修正
- 、、、、などなど
どこまでも曲をチマチマいじって終わらない
あるいは全然作り込まずに放り投げ、発表してしまう
アーティストへのインタビューでもしばしば聞かれるこの質問。どの時点で完成とみなすのか。
締め切り1秒前まで粘ってその時点で完成とみなす。あるいは気持ちの問題だから、気が済むまでやればよし。1週間やってみて大体完成。などなど、みなさんはどういった基準で完成とみなしていますか?
一番良さそうなのは、初めから完成のイメージが明確で、紙か何かに設計図もあって、一直線に進んでゆく。マンションを建設するかのようにシステマティックにできたらいいのですが、楽譜はともかく図面に音楽そのものは描けません
作る前に脳内に完璧にイメージできる特殊な人を除いて、多くの人は大体こんな感じ、というくらいから始めて、紆余曲折を経ながら、まあこんな感じかな、といったところで完成ではないでしょうか
例えば、作業が進むにつれて、合理的で意味のあるものが生き残っていきます。ここはハウリングがきついから音を下げよう、とか、サビの前だから何か仕掛けを入れてみよう、とか
売れる曲を作りたい、マニアに届けたい、自分の得意分野を追求したい、不得意なジャンルを学びたい、新しい音楽とは何か、、、様々なことを考えて、自分と向き合い、時には社会、世界の趨勢まで考えて、作業してゆくでしょう
そうしていって哲学やら機能美の部分を突き詰めた後、なんだかつまらないと思って、メロディーのループ素材やドラムパターンを差し替えてみたりして、また崩れた均衡を取り戻すような修正を加えていく
ドラムをビンテージっぽい質感のループ素材に差し替えたらハイハットの高音域が小さくなってしまったとします。なんだか平べったくて奥まった感じになって全体としては気に入らない、でもこのドラムは気に入ったのでこれを活かしたいとき、高音を補うにはどうしたらいいか。
イコライザーで持ち上げればいいのか、それで曲の雰囲気は気に入ったものになればいいですが、せっかくのドラムの質感が大きく変わってしまいます。シンセの音をプラスしたらいいのか、そんなに音を追加してそもそも大丈夫なのか。
ではノイズを乗せてみる、そのノイズも曲の一部として、どのように馴染ませ、関連づけていくのか、、こんなことがある度に、ノイズばかり多用するのはいかがなものか、ドローンのような長いサウンドのアンビエンスを使ってみるか、グルーヴ感は失われないだろうか
グイッと、どこかのツマミを回したり、極端な設定のエフェクトをまとめてかけてみましょう。音の均衡は破綻して、そのままでは完成とは呼び難いが、あれ、なんかこれ面白い感じになったな、みたいになったらチャンス到来
だんだんわかってきたぞ、とか、ハッとするような直感が訪れ、これだ、という強固なイメージが(やっと)出来上がり、ゴールはここだという確信が生まれて、そこまで走り切れば完成です
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