ロックだぜ!という伝統芸能的な感じで、ギターを叩きつけたり、ドラムを蹴っ飛ばしたりするアーティスト
今日は2024年の7月11日ですが、昨日あたりから、そのようにベースを破壊したSADSのベーシストYUTAROさんのSNSが炎上しいるそうです
みなさんどうでしょうか。私は感情的には、昔からこの楽器を破壊するという行為があまり好きではありませんでしたが、まあそういう世界なのかな、という感じで見てきたクチであります
でも、野球選手がやたらとバットやグローブを大事にするのも、なんだか違和感がありました
所有権という概念を正しく身につけていれば、自分の楽器をぶち壊そうが、バットを100万円するケースに入れて持ち運ぼうが、その人の勝手なわけです
そもそも所有権とは関係ない部分で、そのように感じる原因があるのかな?
破壊行為を意味するヴァンダリズムという言葉がありますが、そもそも破壊するという行為には、複数の意味合いが含まれています
敵意を示す。抗議をする。自己表現。他人のものを壊す場合は略奪、風刺の意味合いもあります
なぜ演奏に必要で、高価な楽器をわざわざ破壊してしまうのでしょうか
今回のYUTAROさん件では、楽器の音が鳴らなくなった事が発端で、Luna SeaのSUGIZOさんも同じ理由でギターを放り投げてしまった事があります
昔のルナシーとかエックスでは結構当たり前に壊しまくっていたのですが、最近はあんまり壊さないし、SUGIZOさんが壊した後は、ボーカルのRYUICHIさんが駆け寄ってフォローしていた記憶があります
以下のビデオは、エックスのヒデさんの楽器破壊と、スギゾーさんの破壊です
私はヒデさんの方はかっこいいと思いますが、スギゾーさんの方は、悲しい気持ちになりました
ヒデさんの壊し方があっけらかんとして楽しそうなんですよね。SUGIZOのは、ああー、この後裏方さんが怒られるのかなーみたいな感じで不安になります
この違いが、鍵になると思います
つまり、楽器を壊すこと自体が問題ではなかったのです
ヒデさんの方は自分の内面と、状況や社会といった広範な矛盾や理不尽に対する感情の発露、あるいは単純にエネルギーがデカすぎて暴れるしかない、というパフォーマンスであり、SUGIZOさんの破壊はミスした人物に対する叱責の意味があります
もしライブ後に、ミスをしたスタッフに叱責しなかったとしても、我々はわからないので、やはり怖いですよね
当時でスギゾーさんも結構な年齢です。若かったヒデさんのバンドがギターを壊してもあんまり怖くないけど、歳上の先輩がギター壊すと怖いという日本の年功序列の構造もありそうです
今回のベース破壊の件も、SUGIZOさんのケースと同じ構造です
YUTAROさんも46歳、私と同じくらいの歳で、中年で、会社では中間管理職の年齢です
単にベースが故障しただけだったとしても、見ている側からすると、うわー、これあとで誰か怒られるのかな、、みたいな気持ちになって、どうも忍びない
しかもSNSにまで投稿していますから、ミスした人にとっては晒し者になってしまったことになります
ベースの音が出なかったせいでよお!ライブが台無しだぜえ!どうしてくれんだよお!と、すぐにでも怒鳴りつけたいし、かっこよく演奏できなくて、恥ずかしい!清春さんにも叱られるかも!どうしたらええんや、、せや!楽器破壊したろ!みたいな背後を想像してしまいます
どうせ破壊するなら、意味なんてない方が気楽に見ていられます
今回の映像も見ましたが、想像通り、八つ当たり。これは炎上するだろうなという感じでしたが、中間管理職の悲哀を感じてちょっと同情もしました
音が出なくなって、咄嗟に何ができるかっていうのは、なかなか難しいですよね
どうにかして、かっこつけなくちゃいけない!というときに適切な行動が取れるかというのは、普段から想定しておかないといけない。楽器の音が出ない、というケースは、珍しいケースではありませんから、我々音楽家は、普段からそうなった時にどうしたら良いかを考えておく必要があります
静かにギターをおいてエアギターで演奏するとか、手を叩いてファンと盛り上がるとか、あらかじめ万力とか用意して、祈りながら万力で壊す、燃やすとか、壊してしまった後にYOSHIKIさんみたいに、なんだかフラフラになって、力尽きて倒れてしまう、などなど。わざとらしく壊せるように、入念に準備しておきましょう
音楽家は偶像を売りにしている部分も大きい。ロックのコンサートなどでは、ファンは非日常を楽しんでいます。
テンパった時に職場の課長みたいにキレ散らかすと、ライブに来ているのに課長の顔が思い浮かんで、一気に現実社会に引き戻されてしまいます。どう誤魔化すか、というのは目の前のお客さんに対してのサービス、優しさです
これを提供できれば、やりたいようにやるぜ!というアーティストの多い音楽業界で競争優位性を確保できます
ミスはゼロにできません。不可能なことをやろうとすると、余計な緊張感が漂って、パフォーマンスは低下します
ミスを減らす努力はするべきですが、ミスを想定した対応も同じくらい重要です
本人も、やばいと思って、焦って突発的に破壊行為で誤魔化してしまったという気持ちは理解できますし、プロの現場において、ミスしたスタッフが叱られる、クビになるのも仕方のないこと。何でもかんでも、優しくして、馴れ合いみたいな感じになってもそれはそれで気持ち悪いでしょう。
悪名は無名に勝るという言葉の通り、今回のケースがバンドにとってプラスかマイナスかは、まだわかりません。実際私もバンド自体は知っていましたが、ベーシストの名前までは知りませんでしたから、炎上して大変な思いをされてるでしょうが、今後の活躍に期待しております
今回の件は私たちにパフォーマンスについて考える良いきっかけを与えてくれました
これを生かして、みんなで音楽業界を盛り上げていきましょう!
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