3次元として立体感のあるミックスの作り方を考えよう〜奥行き編

時代と共に人々の感覚も変化し、それに伴って音楽も変わります

大昔、人々には立体を表現する、という発想そのものがありませんでした

これは1333年のシモーネさんの絵です

人物、背景ともに平面に、均等に描かれています

これが100年くらい後になると、立体的になってきます

1400年初めの、ランブール兄弟の絵です

奥行きが出てきました

音楽も変化してゆきます

初めは、ゴスペルみたいな歌を並んで歌うだけだったものが、ハーモニーを作ってみたり、コーラス、リズムを、、となってきます

そして、現代です

人類の叡智が生んだエフェクター

リバーヴ

80年代あたりはどの曲も結構リバーブがかかっているようです

90年から2000年ごろになるとあんまりリバーブ感がない曲が増えてきます

https://youtu.be/DMAOwVlTFkc?si=0VsjGH39vMgnO0wd

私が作曲を始めた2000年ごろ、作曲ソフトについているリバーブは、あまり品質がよくありませんでした

リバーブはすごくパソコンのメモリを消費するので、残響音の粒子が荒く、耳障りなので、あまりガッツリ使うことはなかった記憶があります

いいリバーヴは、高級でした

当時の私には、とても手が出るものではありませんでした

近年は、とても品質が良くなってきています

特にボーカルに深いリバーブをかけて、奥行きを強調する曲が多いようです

巧みに構成された空間演出

とにかく深くかけて、奥行きを強調するのがトレンドです

このKelelaさんの曲は、とても参考になります

リバーヴとディレイ、語尾の部分だけかけてみたり、コーラスの部分を横から聴こえるようにして、真ん中のメインボーカルを包み込むように処理しています

リズムの部分に展開が少ないので、普通にずっとリバーブだけ掛けていたのでは、単調になってしまいます

そのため、ボーカルの構成を複雑にして、バランスをとっているのではないでしょうか

videoも、シンプルなカプセル(リズム)の中で歌い手がクネクネ(ボーカルの変化)といった関連を考えると、曲を上手に表現しています

ドラムにもリバーブをかけてもいいのですが、キックなどの低音部の雰囲気に気をつけましょう

リバーヴによる残響音が全くなく、ドライ(乾いた)な時、私たちはその音が近くにあるように感じます

これをうまく利用して、自分のキャラを作り上げたのが、ビリーアイリッシュでしょう

ボーカルを録音するときに、なるべくマイクのそばで、コソコソ声で録音します

これでさらに近くで歌っているように聴かせて、手前の空間を強調することで立体感を演出する、逆転の発想がうまくいきました

そのため、伴奏の方が後ろにあるようになっていて、スナップに短いディレイ、シンセに深めのリバーブが使われて、奥行きを表しています

いずれにしても、特にコンセプトで真っ平らに作る必要がない限り、音の前後関係を意識して、臨場感を演出することが求められます

昔はハイハットに僅かにリバーブをかけて、リアルさを出せ、といった小技もありましたが、最近はどうでしょうか

時代と共に、手法も変わってきます

80年代はリバーブを多用していましたが、それでも、”あまり使いすぎると空間が風呂屋みたくなるから気をつけろ、と言われました

今は風呂屋どころではありません

宇宙空間ぐらい広がっているといっても、過言ではありません

今後、企業各社が仮想空間への投資が進むことによって、ドルビーアトモスと言うような、立体オーディオ技術が求められるようになるかもしれません

非常にたくさんの、スピーカーを使って製作します

こうなってくると製作手法も大きく変わってきます

リバーブやディレイが、なくなることはありませんが、この状況では音をどのスピーカーから鳴らせばよいかを決めれば立体を表現できます

例えばバンドの演奏が外で行われている、演奏には特にリバーブをかけずに、効果音、例えば遠くでミサイルが落ちてきた、みたいな音にはリバーブをかける、みたいな情景を考えたり

自分がボーカルになっているように、周りから伴奏が聴こえる(近い)そして観客の声援が聴こえる(遠い)ので、観客の声援にはホール系のリバーブ、バンドの伴奏には、ステージ特有のやまびこ系のリバーブを使う、などが考えられます

大きな会場でライブをした人は分かると思いますが、スピーカーの向きが観客側ですから、演奏の音が会場の壁に反響して、リアルタイムで演奏している音と時差ができてしまい、演奏がうまく聴き取れなくなってしまいます

それを解決するために、ステージ側に向けたモニタースピーカーがあります

今までは、あまり考えることのなかった状況を、ミキシングで表現することになるかもしれません

このような未来に向けて、投資するかどうか、映画だけでなく、音楽そのものにも影響があるのかどうか、判断が分かれると思います

皆さんは、どのようにお考えになりますでしょうか

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