久石譲の著作権発言を考えてみよう〜音楽家とビジネス

26日、作曲家の久石譲さんと株式会社ワンダーシティが公式サイトを通じて、久石譲さんによる楽曲について「正規の手続きがなされていない利用や編曲は一切許可をいたしません」と表明しました。

今回は、このことをもとに、音楽家がどうやってお金を稼いだら良いかを、考えてみましょう

結論と言いますか、私が皆さんに強く主張したいのは、音楽は権利のビジネスであるということです

これを踏まえて、考えてみます

皆さんは音楽で稼ぐ、といった時にどうしようと思うでしょうか

大きく2つあるでしょう

ライブでチケットとグッズを売る

曲を売る

有名になればコマーシャルなんかに出演できるでしょうが、それはもはやタレント活動ですので、今回は考えないことにします

さて、この2本の収益の柱を活用するためには、大きな前提があります

それが著作権です

ライブで演奏する曲は、あなた(のバンド)の曲でないといけません

カバー曲を演奏したければ、著作権を持っているアーティスト、もしくはレコード会社に許可を得る必要があります

曲を売る場合も同様です

なんだ、そんなこと知ってるよ、とお考えかもしれません

我が社のグッズ(非売品)

しかし、あなたが逆の立場に立ったとき、状況は変わってきます

あなたの曲を、YOASOBIが勝手にライブで歌ったらどうでしょうか

こんなに大きな宣伝効果はありません

しかも、無料で宣伝してくれたようなものです

権利のことはすっかり忘れて、大喜びするでしょう

では、YOASOBIではなく、駆け出しのアイドルグループだったらどうでしょうか

やめろ、と思うかもしれませんが、まあ、多少は宣伝になるから、いいか

みたいに思うかもしれませんね

個人で作曲の仕事をしていると、クライアントから、さらっと、著作権は、買取でお願いします

とか言われたりします

断ったら仕事がもらえないと思うと、いいですよ、といってしまう方も多いのではないでしょうか

多少は宣伝になるから、いいか

こうして、あなたは、自分を守ってくれる唯一の権利を、手放してしまうのです

音楽家に限らず、全てのクリエイターにとって、一番大事なものは、著作権です

ライブは、肉体労働ではありません

他人の曲をいくら歌って肉体労働しても、それでリスナーに感動を与えても、著作権を侵害していれば、対価としての収入は得られないのです

CD、グッズの販売についても同じです

物を売っているのではありません

手触りが、とか歌詞カードの写真が、みたいなのは、売りやすくするためのプラスの価値、付加価値というやつで、音楽ビジネスの本質ではありません

ですから、ダウンロードやストリーミングという業態が出てきた時に、握手券とか、投票権付きのCDがたくさん販売されたのです

これらも、権利を販売しているわけで、ビジネス的には本質をついているのですが、さすがに多くの人が、これじゃあCDの意味がないだろう、と感じましたね

音楽ビジネスとは、肉体労働でも、ものを売る商売でもなく、目に見えない、権利のやり取りのビジネスである

このことは、どんなに強調しても、しすぎることはありません

もちろん、現実的な問題として、駆け出しの部分で、著作権を手放さないと、仕事がもらえなかったりすることは、あるでしょう

しかし、それは最低限に、戦略的に行うことが大事です

権利の適切な運用は手続きも必要で、大変でしたが、今は時代が違います

ストリーミングの収益分配機能(スプリット)やYouTubeでは権利侵害の検出機能などを活用するのも良いでしょう

今回久石さんが表明したことは、全く正しいと思います

彼は全く曲を使うな、と言っているわけではありません

正規の手続きを踏んで、許可をとってください

なぜなら、著作権は、音楽家にとっての命綱だから、ということでしょう

権利を大事にすることが、成功への第一歩です

試行錯誤もあると思いますが、皆さんと一緒に、リッチになって、エンジョイしようではありませんか

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