今回は技術的には、エンベロープとレイヤーについてお話しします
用語の説明は後回しにして、雑談から始めましょう
よく、アーティストのインタビューなどで、曲を絵のように描いています
なんていう方がいます
実際にスピーカーで聴いてみると、確かにそれぞれの音が、形を持っているように見える
そんな経験はありませんでしょうか
音は目に見えない、これは半分正しいけれど、半分間違いであります
音は空気の振動ですから、空気に煙なんかで色をつけてやると、振動の様子を見ることができます
そこまでしなくても、スネアとキックでは、どうも違う形に感じますでしょう
キックは丸っこい形でゴムみたいな材質、それに対してスネアは尖っていて、硬い材質の何かに感じます
違う例では、右のスピーカーから出た音が、素早く左に移動するという場合
そうすると、音を目でも追ってしまいます
目を閉じればなおさら、それらの光景が勝手に映像になる
何やら、それぞれのサウンドに、色までついてくる有様です
シンセサイザーの音が、青く感じたり、ピンクに感じたり
ここまで読んで、あなたの意識の中で、音と映像が、結びついてきたはずです
絵を描くとき、どのように描くかを考えてみましょう
まずは背景を描いて、人物などを重ねていきます
遠くのものは小さく描きますし、近くになると大きくなります
線の強弱もあるでしょう
強調したい部分は強くて太い線で描きます
そのようにして、注意深く対象を配置しながら、何かを表現するというわけです
漫画やアニメとなれば、これらが時間軸で、さらに動いていくわけです
音楽でも、このような考えはとても大切です
レイヤー、つまり音を重ねていくということですが、例えば高音部分をイコライザーでカットして、その部分にシンセの音をのせるとか、
ベースの音を3種類くらい違う音で用意して、いっぺんに鳴らしてみるとか
一度にいっぺんに鳴らさずに、曲が進むにつれて段々と重なっていくようにするとか
とにかく色々と重ねてみると、表現に深みが出てきます
もちろん重ねすぎると、どんどん音は混乱しますので、そこは注意でしょう
今紹介した例でいうと、ベースがまずひとつなり始めるとして、次に違う音色のベースを重ねる場合
いきなりベースが重なると違和感がある場合があります
ああ、だめだこれは、と諦めてしまうところですが
そろりそろりと、ゆっくりベースを重ねてみるとうまくいくこともあります
曲の始まりかたにしても、DJのために作るなら、いきなりキックがドンドンとなってもいいですが、聴く人がびっくりしないように、初めはそろりそろりと小さめの音から始めた方がいいでしょう
そのようにして音量やさまざまなパラメーターを動かして、それをちゃんと記憶しておくことを、エンベロープを描くと言います
音がだんだんと大きくなるだけで、音が膨らんだり、奥から前に音が迫ってくる気がします
逆だと、音は遠ざかっていったり、萎んでいくという表現もできます
このような技を使えば、単に音を配置して、順番に展開させるよりも、多彩な表現ができるようになります
音質やマスタリングテクニックなども重要ですが、こういったストーリー展開や全体像に関わる部分がしっかりしていると、グッと魅力的な曲になります
ぜひ、レイヤーとエンベロープを駆使して、素晴らしい曲を描いてみては、いかがでしょうか
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